7月。
命の期限はどれぐらいなんだろう。
痛みに堪える度に、あの頃は怖い想像ばかり浮かんできました。
お母さんの部屋は西側だから窓からは西の空が見えるの。
貴女の部屋は東の空が見える。
朝の光が一番に差し込んで貴女を照らして欲しいから貴女の部屋は東側にしたのです。
貴女は寝起きが悪いから、朝日を楽しむ余裕はないみたいです。少し残念。
お母さんの部屋は、ベッドに寝転んで見上げると、窓から空が見えるの。
夜 見上げる月があまりに綺麗で。
1度だけ泣いたことがあります。
あと何年生きられるんだろうと、そう思ったら鼻の奥がつんとして。
込み上げる不安が涙と一緒に溢れてきたことがあります。
なぜ90歳まで元気に生きられるって信じてたんだろう。
好きなこと、やりたいこと、子育て終わったらいくらでもやれると思ってた。
無限に時間は続くって、なぜ信じていられたんだろう。
いまから考えると、そんなに追い込まれる前に病院に行けば良かったと思います。
痛みに耐えた時間のなかで、やりたかったことを数えて。できなかったことを数えて。
笑える話だけど、大したこと思い付かなかったの。
ただ、貴女とお兄ちゃんの幸せを思い浮かべて。
お母さんの世界は貴女たちでいっぱいだったから、やり残したことは『孫を抱きたい』ってことくらいでした。
貴女とお兄ちゃんは、私がいない世界でもしっかり生きていける。それが確信できることを幸せだと思いました。
センチメンタルな涙だったのに、やりたいこと思い浮かばない自分がおかしくて、「たいがい好きなことやってるもんなぁ」って満足した気分になりました。
あんなにいっぱいあった「やりたいこと」
いつの間にかほとんど叶えられてました。
愛し愛されて、こども授かって、子育ても楽しんで、貴女たちに満たされて。
めちゃめちゃ幸せやん。て。
そう言える日々が愛おしい